ETFE
ETFEとは?
・ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン)は、テトラフルオロエチレン(C₂F₄)とエチレン(C₂H₄)を共重合した熱可塑性フッ素樹脂です。 PFAと同様に溶融成形が可能な材料でありながら、比較的コストが低いことが大きな特長です。
・PTFEやPFAに匹敵する耐薬品性・絶縁性・低摩擦性を備えており、-
200℃〜150℃の幅広い温度環境下でも安定した機械的性能を維持します。
・特にカットスルー抵抗などの機械強度に優れ、耐放射線性や高い電気絶縁性を持つため、電線・ケーブル用途などに多く使用されています。
・また、紫外線に強く透明性があることから、屋外環境下での長期使用にも耐え、近年では膜構造建築材やソーラー関連部材としての採用も拡大しています。
ETFEの分子構造
粘度:103~104 ポイズ (300℃)
最高連続使用温度:150℃
融点:270℃
ETFEの成形方法
PTFEの様に溶融粘度が高くないために、汎用プラスチックと同様な溶融流動成形法が用いられます。
主な成形方法として押出成形法、射出成形法 トランスファー成形法、回転成形法、ブロー成形法、溶融圧縮成形法、コーティング法があります。
当社で対応可能な成形⽅法は、射出成形です。
ETFEの用途
ETFEは、機械的強度が大きいことと、耐放射線特性が良いことから、原子力関連の電線や機器内配線に使用されます。 主に電線被覆材、コンピュータの機内配線や原子力発電所の原子炉制御関係のケーブル、離型用フィルム、グリーンハウス用フィルムなどです。
最近では、フットボールスタジアムなどの建材、飛行機の電気配線のカバー、船舶の耐食材でも使用されています。
ETFEの物性表
特性 | 単位 | 試験法 | ETFE | ||
|---|---|---|---|---|---|
融点 | ℃ | JIS K6935 | 対応ISO 12086 | ASTM D4591 | 270 |
密度 | g/㎤ | K7112 | 1183 | D792 | 1.73-1.74 |
引張強さ | MPa | K7162 | 527 | D638 | 38-42 |
伸び | % | 同上 | 300-400 | ||
ロックウェル硬さ | [Rスケール] | K7202 | 2039 | D785 | R50 |
ショア硬さ | [Dスケール] | K7215 | 868 | D2240 | D67-78 |
曲げ弾性率 | GPa | K7171 | 178 | D790 | 0.90-1.20 |
引張弾性率 | GPa | K7161 | 527 | D638 | 0.70-0.85 |
動摩擦係数 | [0.69Mpa,3m/min] | K6935 | D1894 | 0.4 | |
熱伝導率 | w/m・K | A1412 | 8302 | C177 | 0.24 |
最高使用温度 | ℃ | K7226 | 2578 | 150 | |
耐アーク性 | sec | D495 | 150 | ||
吸水率 | %[24hr] | K7209 | 62 | D570 | 0.03 |
難燃性 | [3.2mm厚] | K7140 | 1210 | UL-94 | V-0 |
限界酸素指数(L01) | K6935 | 4589 | D2863 | 32 | |
耐薬品性 酸 アルカリ 有機溶剤 | D543 | 超優秀 超優秀 超優秀 | |||
超優秀:ほとんどの薬品、溶剤に過酷な条件下でも侵されない。
優秀:一部の薬品、溶剤には特定の条件下では使用を留意する必要がある。
秀:使用する薬品、溶剤、使用条件を詳細に検討する必要がある。
良:一部の溶剤に溶ける。
出典:日本弗素樹脂工業会 ハンドブック改訂13版